働き方・現場のリアル2026-07-23監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

関西の物流現場「夜勤」の給与とシフトのリアル——倉庫職・ドライバー編

この記事の要点

「昼と夜、時給がそんなに変わらないなら、正直夜勤なんてやりたくないですよ」——去年の秋、東大阪の物流センターで深夜のピッキング作業を終えたばかりの40代の女性リーダーが、休憩室でそうこぼしていたのを今でも覚えています。深夜3時、館内は明るいのに外は真っ暗で、コンビニのおにぎりを片手に語ってくれたその一言が、この記事を書こうと思ったきっかけでした。

結論から言うと、僕個人としては、夜勤は「稼げるが体に負荷がかかる働き方」であり、給与の仕組みと自分の生活サイクルを照らし合わせてから選ぶべきものだと考えています。関西の物流現場では倉庫職・ドライバーの両方で夜勤が一定の役割を持っていますが、その内容と対価は一律ではありません。以下、段階的に整理していきます。

0. なぜ今、関西の物流現場で夜勤が注目されているのか

関西のEC通販拠点や食品配送センターでは、翌日午前中の店舗着荷や当日配送に対応するため、深夜のうちに仕分け・積み込みを終えておく必要があります。日中の人手不足がドライバー・倉庫職双方で続いていることもあり、夜間の稼働をどう維持するかは現場の共通課題になっていると僕は感じています。先ほどの東大阪のセンターも、日中は近隣工場からの人手を確保できても、深夜帯の充足には時間がかかっていると担当者が話していました。

大阪港・神戸港周辺の倉庫では、コンテナの入出庫が船のスケジュールに合わせて深夜・早朝に集中することもあり、こうした港湾近接エリアでは夜勤帯の人員をあらかじめ厚めに組んでいる会社が多いという印象があります。港からの幹線輸送と倉庫の稼働時間が連動している以上、夜勤は「一部の会社の例外的な働き方」ではなく、関西物流の構造そのものに組み込まれた時間帯だと僕は捉えています。

一方で、夜勤には「稼げる」というプラスの側面もあります。深夜労働、つまり22時から翌5時までの労働については、労働基準法37条により25%以上の割増賃金を支払うことが義務づけられています。これは会社の裁量ではなく法律上の下限であるため、夜勤帯で働く以上、最低限この割増は給与に反映されているはずだ、という前提を持っておくことが大切だと考えています。

1. 倉庫職の夜勤——シフトパターンと給与の目安

関西の倉庫現場でよく見る夜勤の組み方は、大きく二交代制と三交代制に分かれます。二交代制は日勤(8時〜17時など)と夜勤(20時〜翌5時など)を1〜2週間ごとに交代する形が多く、三交代制はさらに準夜勤(16時〜24時)を挟む形です。個人的には、完全固定の夜勤よりも二交代制で日勤と夜勤を交互に経験できる職場の方が、生活リズムの調整がしやすいという印象を持っています。

給与面については、独自ガイドの目安として、夜勤帯の時給は日勤帯より150〜300円程度高くなる傾向があります。これは先述の深夜割増25%が基本給に上乗せされる形が一般的なためです。ただし、求人票に「深夜手当込み」とだけ書かれているケースでは、実質的な日勤との差が見えにくくなっていることがあるため、面接や条件確認の場で「深夜手当は時給に含まれているか、別途支給か」を必ず聞くことをおすすめしています。同じ「時給1,300円」でも、深夜手当込みか別払いかで実際の月収は変わってきます。

また、取り扱う荷物の種類によっても夜勤の負荷は変わってきます。常温の雑貨系倉庫では比較的静かな作業が多い一方、冷凍・冷蔵の食品倉庫では防寒着を着ての作業になり、体感的な疲労は大きくなる傾向があると僕は感じています。求人を比べる際は時給だけでなく、どういう庫内温度帯で働くのかも確認しておくと、入社後のギャップが減ると思っています。

2. ドライバーの夜間便——拘束時間と休息のリアル

ドライバーの夜勤は、倉庫職とは少し違う事情があります。関西発の幹線便(大阪〜福岡、大阪〜広島、大阪〜名古屋など)は、渋滞の少ない夜間に走行することで到着時間を安定させる目的があり、深夜出発・早朝到着という便が一定数存在します。このタイプの夜間便では、改善基準告示に基づく休息時間の確保が運行計画の前提になっており、会社側も休息時間を無視した配車は組めない仕組みになっています。

ただ、僕がこれまで話を聞いた範囲では、「休息時間は確保されているが、その休息の質」が会社によって差があるという声が多くありました。休息場所が仮眠室なのか、それとも自宅に戻れる運行なのかで、体感的な疲労度はまったく違います。ある大阪〜広島間の幹線便を担当する30代の男性ドライバーは、「往復の運行で自宅に帰れる日と、着地で仮眠室泊まりの日が混在していて、後者の翌日はどうしても頭が重い」と話してくれました。深夜便を検討する際は、給与額だけでなく「休息をどこで取る運行か」を具体的に確認することが、長く続けられるかどうかを分ける分岐点になると個人的には考えています。

3. 夜勤でよくある失敗とその対処——倉庫職とドライバーの違い

夜勤を始めた人によくある失敗として、僕が現場で耳にしたものを整理すると、次のようなパターンが目立ちます。

失敗パターン倉庫夜勤で起きやすいことドライバー夜間便で起きやすいこと
生活リズムの崩壊休みの日に日勤リズムへ戻そうとして睡眠不足が慢性化荷待ちのタイミングで昼夜逆転が固定化し家族との時間が減る
手当の見落とし深夜手当込み時給を日勤と同水準だと誤解して入社休息時間中の待機を「休憩」と混同して手当の対象外だと思い込む
体調管理の後回し眠気を我慢して作業効率が落ち、ケガのリスクが上がる単調な深夜運転で集中力が切れやすい時間帯を把握していない

倉庫夜勤の場合、休日にリズムを戻そうとして逆に体調を崩す方を何人も見てきました。一方でドライバーの夜間便は、単調な運転による眠気との付き合い方が課題になりやすいという印象です。どちらにも共通するのは、「最初の1〜2ヶ月をどう乗り切るか」が定着の分かれ道になっているという点だと僕は考えています。対処としては、入社前に休憩・待機・休息の違いを会社に確認しておくこと、そして体調の変化を我慢せずに早い段階で上長に伝えることが、遠回りに見えて一番確実な近道だと思っています。

4. ケース比較——同じ「夜勤」でも会社によってこんなに違う

ここまで一般論を整理してきましたが、実際の現場では同じ「夜勤」という言葉でもかなり内容が異なります。僕がこれまで見聞きした範囲を、独自ガイドの目安として3つのパターンに分けて比較してみます。

パターン時給の目安差(日勤比)休息・体感負荷
食品配送センターの固定夜勤+200〜300円程度冷蔵帯の作業で体感疲労は大きめ、休日固定で生活リズムは組みやすい
ECセンターの三交代制+150〜250円程度準夜勤を挟むため慣れるまでの調整期間が長い
幹線便ドライバーの深夜出発+300円前後(乗務距離による)休息場所(仮眠室か自宅)による疲労差が大きい

この比較から言えるのは、「時給の上乗せ額」だけを見て会社を選ぶと、休息の質や体感負荷という別の軸で想定外の負担を抱えることがあるという点です。個人的には、時給差が小さくても休日固定で生活リズムが組みやすい会社の方が、長く働く上では結果的に得をするケースが多いと感じています。

5. 今日からできる夜勤対策の実務ステップ

夜勤を検討している、あるいはすでに始めたばかりという方に向けて、今日からできる実務的なステップを時系列で整理しておきます。

面接・入社前(所要目安30分)

求人票の「深夜手当込み」表記を見つけたら、時給の内訳(基本給+割増分)を面接時に確認します。ドライバー職の場合は、休息時間の場所(仮眠室・自宅・車内)を具体的に質問し、運行ルートの休息の質を把握しておくことをおすすめします。この30分の確認が、入社後の納得感を大きく左右すると僕は考えています。

入社1週目〜1ヶ月目

夜勤初日から1ヶ月は、休日も就寝・起床時間を大きくずらさないようにし、一気に日勤リズムへ戻すことを避けます。遮光カーテンや耳栓など、日中の睡眠環境を整える初期投資も後回しにしないほうがいいと思っています。体調の変化(食欲・集中力の低下など)は、その都度メモしておくと2週目・4週目の振り返りが楽になります。

1ヶ月後の振り返り

1ヶ月経った時点で、体調のメモを見返し、「このまま続けられそうか」「二交代制への変更を相談すべきか」を一度整理するタイミングを作ることをおすすめします。特に最初の確認項目(手当の内訳)は、僕が最も伝えたい点です。給与票の「合計時給」だけを見て入社を決めると、実際に働き始めてから「思っていたより夜勤の上乗せが少ない」と感じるケースが一定数あります。契約前に内訳を確認する一手間が、後々の納得感に大きく影響すると考えています。

6.(結論)夜勤を選ぶ前に確認したい3つの軸

ここまで整理してきた内容を、僕なりに3つの軸としてまとめておきます。ひとつ目は「給与の軸」——深夜手当が時給に含まれているか、別払いかを必ず確認すること。ふたつ目は「休息の軸」——ドライバーであれば休息時間の場所と質、倉庫職であれば交代制のパターンと庫内の温度帯を把握すること。みっつ目は「生活リズムの軸」——完全固定夜勤か、日勤と交互になる二交代制かで、体への負荷はまったく変わってくるということです。

夜勤は、うまく付き合えば日勤よりも収入面で有利になり得る働き方だと僕は考えています。ただそれは「稼げるから」だけで選ぶものではなく、自分の生活サイクルと相性が合うかどうかを見極めた上での選択だと思っています。冒頭で紹介した東大阪のリーダーも、今では二交代制の職場に移り、「日勤も夜勤も両方経験できるから、比較して納得できる」と話してくれました。皆さんいかがでしたでしょうか。夜勤を検討する際は、給与票の数字だけでなく、その内訳と休息の質まで一歩踏み込んで確認してみてください。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 倉庫の夜勤は本当に給料が高いですか?

独自ガイドの目安として、深夜手当(労働基準法37条・22時〜5時で25%以上の割増)が加わる分、日勤より時給換算で150〜300円ほど高くなる傾向があります。ただし会社ごとの基本給設計や交代制の組み方で差が大きく、求人票の『深夜手当込み』表記が日勤との実質差を小さく見せているケースもあるため、時給内訳を必ず確認する必要があると考えています。

Q. ドライバーの夜間便はどれくらいの拘束時間になりますか?

改善基準告示に基づき休息時間の確保が義務づけられており、幹線便でも運行後には一定の休息が必要です。具体的な拘束時間は路線・会社によって幅があるため、面接時に『休息時間の実際の運用』(仮眠室か自宅か)を確認することを僕はおすすめしています。

Q. 夜勤未経験でも倉庫の夜勤シフトに入れますか?

未経験でも入れる求人は多いという印象ですが、最初の1〜2ヶ月は生活リズムの崩れが体調に響きやすい時期だと感じています。日勤からいきなり完全夜勤に切り替えず、二交代制で日勤と夜勤を交互に経験できる職場を選ぶ方が、体への負荷という意味では無理がないと考えています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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